サンプリングCD「ディスカバリー・ジャパン」　和太鼓,三味線,琴,尺八など和楽器の音源集。DTM、DJ、クリエイター向けのサウンド販売はディスカバリーサウンド。

◊長田 原（おさだもと・作曲家｜日本）

「ディスカバリー・ジャパン」は琴・尺八・三味線などといった、主要な日本の伝統楽器を多数網羅している。プログラミングやエディット、そして工夫を加えて、「日本伝統の室内音楽アンサンブル」というリアルなモックアップを創出することができる。クオリティの高いループとシングル・ヒットは、広範囲の音楽スタイルに適用させることも可能だ。

私はほとんどの場合、必要とするアコースティック楽器の音を入手できない場合、または演奏者の手配が叶わない場合にサンプリングライブラリーを代用する。ライブ・ミュージシャンを雇う予算がない時などにも非常に役立つため、サンプリングライブラリーは私にとって、大いに重宝するものでもある。先日、私のクライアントが伝統的な和楽器サウンドを使ってトラックを組んでほしい、と依頼してきた時は、実際のところ少しヒヤッとした。ニューヨークに腰を据えていながら、優れた和楽器の演奏家を見つけることは容易なことではない。私は即座にインターネットで「ディスカバリー・ジャパン」というサンプリングCDを探し当てた。その瞬間に感じた興奮は今でも記憶に新しい。なぜなら、試聴デモが優れた音楽性と真実性を響かせ、「ディスカバリー・ジャパン」が多大な可能性をも併せ持っていることが即座に理解できたためだ。

私がとくに好奇心をそそられたのは、〈声明（しょうみょう：仏教徒の詠唱）〉である。モダンでクロスオーバーな雰囲気の楽曲に、興味深いイントネーションの神聖な男性コーラスをプラスした際には、例外的に心奪われるサウンドを奏でる。私は〈声明〉1トラックを太鼓やその他の打楽器に組み合わせることにより、アジア大陸的で壮大なドラマを連想させるようなトラックを制作したが、非常に満足度の高い作品となった。

本作品は世界的に互換性のあるオーディオフォーマットである。音源の編集、キーの切換設定、キーボードアサインによって、非常に扱いやすく表現力豊かな「ジャパニーズ・サンプラー楽器」を実現することができる。私はApple/Emagic Logic Proと共にEXS24 mkIIを使用しているが、その他のメジャーなサンプラーを使用しても確実に同様の結果が得られるはずだ。

今日、無数のサンプリングライブラリーが市場にあふれているが、「ディスカバリー・ジャパン」は作曲家の実に様々なニーズを満たす、非常にユニークな作品として君臨していると言えるだろう。


◊Music Tech magazine - 2003.11（米国）
ニゲル・ロード氏

「ディスカバリージャパン」は、三味線・尺八・琴を有する異国へのちょっとした旅にも似た感覚をもたらしてくれる。（中略）録音品質は期待通り。全体として高品位、それがサウンドの巧妙さを伝え、重要性を持たせている。とくに管楽器は、シンセサイザーでは再現不可能な素晴らしいクオリティーのブレス音を利かせている。（中略）あらゆるクロスオーバー要素は個々の音楽に必要であるが、おもにヴォーカルが絡む音楽作品となれば、クロスオーバー感覚の再現性にはいつも困難が付きまとう。伝統的な日本音楽が西洋人の私たちにとって、もっと身近なものとなる可能性はあるが、得体の知れないエイリアンのようなイメージを本質的に持ち続けている。実はその部分こそが、この作品の魅力なのかもしれない。


◊COMPUTER MUSIC magazine - 2004.3（英国）
評価：10点満点中9点

ごくまれに完璧で衝撃的ともいえるサンプリングCDが現れるが、まさにこれこそ私たちが求めていた作品。伝統的な和楽器フレイズ・ヴォーカル・パーカッションなどが計90トラックも収録されており、サウンドトラックや楽曲の間奏部に正真正銘のジャパニーズ・フレーバーを探しているクリエイターは必見だ。

話題の楽器群は、津軽三味線・尺八・竹笛・琴などが含まれ、それらは全て著名なプレイヤーによる演奏。なかでも、梵鐘から平太鼓までの打楽器が数多く収録されている。また、あまりにも魅力的に響く音色とサンプラーを通した時にイキイキとした生命力を感じさせるサウンドがたっぷりと詰め込まれている。

この音源を使えば目的通りのサウンドに間違いなく到達できる、と言えるほど優れた美点をもつ「ディスカバリー・ジャパン」。本当に心より夢中にさせ、感動させてくれた。